事例集 - セキュリティ

クラウド移行に伴うバックアップの最適化

【日興通信株式会社】

背景

近年、サイバー攻撃はますます巧妙化・複雑化しており、どれほどセキュリティ対策を強化していても “100%防ぐ” ことは不可能と言われています。攻撃者は常に企業の防御の“わずかな隙”を狙い、メール・VPN・クラウド・内部ネットワークなど、あらゆる経路から侵入を試みます。こうした状況では、攻撃を防ぐことだけに注力するのではなく、「万が一侵入された後に、どれだけ被害を抑え、早く復旧できるか」がより重要な視点となっています。その被害最小化を支える最後の砦が、攻撃前の状態へ確実に戻すための「バックアップ」であり、その重要性はこれまで以上に高まっています。

クラウド移行に伴うバックアップ運用の見直し

当社では、今年度、クラウド事業の拡大に合わせ、社内ITインフラのオンプレミス環境からAWSクラウドへ移行を実施しました。移行にあたっては、複数のクラウド移行パターンを比較・検討し、そのプロセスの中で「バックアップ運用」の見直しも実施しました。従来は、夜間バッチ処理により、サイト間VPN を利用して遠隔サイトへバックアップデータを自動転送していましたが、通信帯域や状況に左右されやすく、場合によっては転送処理が始業前までに終わらない等の課題がありました。

今回のクラウド移行では、「AWS Backup」や「Amazon FSx for NetApp ONTAP」の自動バックアップサービスを活用し、バックアップをクラウド環境内で完結できる仕組みに切り替えました。これにより、バックアップ運用の安定性が向上するとともに、自動化が進み、運用負荷の軽減とセキュリティ強化を同時に実現することができました。

得られた効果と今後の展望

クラウド移行後は、バックアップ処理が AWS 内部のネットワークで完結するようになり、外部通信の安定性が飛躍的に向上しました。加えて、VPN を経由しない構成となったことで、通信経路におけるリスクが大幅に低減されました。従来VPN 経由のバックアップは、外部ネットワークを通過する性質上、帯域圧迫や通信障害の影響に加えて、通信経路上のセキュリティリスクも考慮する必要がありました。しかし、クラウド内部で完結するバックアップへ切り替えたことで、こうした経路上の脅威が実質的に排除され、データ保護の信頼性がより高まりました。さらに、これまで手作業で行っていたバックアップ運用が自動化されたことで、担当者の負荷が大きく軽減され、より付加価値の高い業務にリソースを割り当てられるようになりました。

今後は、クラウドで整えた基盤をさらに強化するため、EDR(Endpoint Detection and Response)の導入を進めています。エンドポイントでの脅威検知・対処能力を高め、バックアップとあわせて多層防御を実現することで、より強固なセキュリティ基盤の構築を目指していきます。

当社では、今回ご紹介したバックアップ運用の最適化をはじめ、お客様の環境や課題に合わせたセキュリティサービスの提案から、設計・構築・運用まで幅広くサポートしています。クラウド活用やバックアップの見直しをご検討されているお客様はもちろん、現状のセキュリティ対策にご不安がある場合も、ぜひお気軽にご相談ください。